小詩集【シンメトリー・パンドラ】/千波 一也
しさをつぶやけば
行き場もないまま
とけてゆきます
いまが、此処
なるべく
痛まないようになら
開けてしまえる身だけれど
そんな事実は
にせものだと言われてしまいそうで
なんだか怖い
おなじ畏れを持つのなら
他人はどこまで他人でしょうか
鏡の前です
きょうもまた
いいえ或いは向こうでしょうか
あしたも昔も
みがいてはみがかれて
右腕は自分
左腕も自分
守っているような
閉じこめているような
欲しい答に
はぐれています
此処で、たくみに
五、鏡姉妹
しずくが微笑めば
そのつど国は
虹色に
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