夜行列車 〜夢の手紙〜/服部 剛
夜行列車「能登号」車内
すでに電気が消えた
午前二時十五分
数えるほどの乗客は
皆 頭(こうべ)を垂らし
それぞれの夢を見ている
一人旅に出た僕は眠れずに
開いた本から顔を上げると
いつのまに
車窓の外は夜の雪国
「 越後湯沢 」のホームを通過する時
この町に住む友の名を
( 心の声 )
で車窓の外に呼びかけた
闇夜に点在する家々の明かり
何処かで眠る君は
夢の中
僕の呼声を聞くだろう
夜行列車は汽笛を鳴らし
闇に消えゆく越後湯沢駅を背後に
夜明けの日本海を目指して走る
やがて瞼(まぶた)は重くなり、本を開いたまま、頭を垂らす
( 君宛に書いた
( 約束の手紙をポケットに入れて
( 僕は歩いてゆく
( 夢の中のポストへ
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