勇者の行く果て/
なかがわひろか
た
ふとしたことで怒り狂った
皆は段々離れていった
勇者の結婚生活は長くはなかった
姫は勇者の猛り狂う殺戮本能を
抑えることができなかった
勇者は全てを失った
いつしか皆は勇者を憎むようになった
勇者の周りは敵だらけになった
けれど
勇者は嬉しかった
本当に
嬉しかった
勇者はまた
殺すことができるようになった
仲間はいらぬ
嫁もいらぬ
権力もいらぬ
ただただ
勇者は
殺したかった
(「勇者の行く果て」)
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