<深夜考>/ポップこくご
わたしのようなものならば
独りの夜は 寂しさもまた友のようなものだ
しかし何の悪戯か酔狂か
時にはおもむろに紙とペンを取り
意を決し かの人に思いを綴る
酒や 音楽や 月夜や 遠くの街の気配
全てに過敏に心が揺れる
しかし 書けども書けどもエピローグには至らず
回りくどく抜け道を用意する
こんな夜でさえ及び腰な自分を鼻で笑いながら
相手にボールを投げつけてペンを置く
-裸の自分はどこにいるのだ-
夜が明け再び闇から覚醒する
鎧の具足をひとつ またひとつと身につけるごとに
一行 また一行と情熱は消息を絶つ
そして 昨日と寸分違わぬ冷徹な武人の傍らには
宛先を知らぬ手紙が恥じらいとともに身を縮めている
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