未亡人/海月
 
黄色に銀杏の葉は染まり
秋の終りの冷たい雨を浴びて
一枚、また、一枚と散っています

月日は流れ香りだけ残し
貴方は遠い場所へと旅立って
私は二度と帰らぬ貴方を待ち続ける
未亡人と化す

いつか貴方が歌ってくれた愛の唄
歌詞は思い出せなく打て
今は微かに頭を過ぎる
メロディーを口ずさむだけ
それは貴方に向けた
鎮魂歌へと化す

夢は醒めるから夢と言う
醒めなかったら悪い方に斃れてしまう
現実と理想の差の分だけ
期待を抱いてしてしまう
例え、それが叶わぬものだとしても

銀杏の葉が全て散る頃に
私も貴方の元へ行きます
例え、それが別の場所だとしても

それでしか私は未亡人から抜け出す術はない
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