わたしは、アルファであり、オメガである/杉菜 晃
 


 詩とはそもそも預言の性質を持っていると、
私は考えている。過去をさぐって、未来に役
立てるのが歴史とすれば、詩とはもっと漠然
としたものを、実証に基づかずに、さらに言
えば、無責任に書き、謳うことが許されたも
のだ。効用がないからこそ、効用がある。そ
のことを精神の解放と繋げて考えてみたかっ
たが、紙幅がない。
 詩の預言の性質に話を戻すと、何も託宣を
詩に綴るだけが預言ではない。本人は想像力
を駆使してものしたつもりでも、そこに神の
意志は宿っている。空疎な手紙は苦手なもの
も、詩なら書けるのはそのせいだ。言霊とも
言われる所以はそこにある。これは無神論を

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