小詩集【ちいさなてのひら】/千波 一也
つの
てのひらになる
なにかにふれることを
てのひらとよぶ
ちいさなてのひらを
どこまでさがしてゆけますか
たどりつけなくてもいい
てのひらをもつ
じぶんがいつでも
はじめのいちまいでありますように
三、告白
ひとつの想いが報われた日に
この手は
またすこし
小さくなった
それは
悲しみではなくて
ひとの非力さが
尚いとおしく感じられた、と
そういうこと
涙がなければ笑顔はない
約束がなければ
傷はない
たとえば誰かが
たやすく語ることの総てを
もう一度はじめから
確かめたいと思った
大げさで
[次のページ]
[グループ]
戻る 編 削 Point(18)