小詩集 雪の扉/杉菜 晃
脚で立つてゐる
悄然として
いかにも寂しい風景だが
悲観することはない
本体と影と合せれば二本脚だ
白鷺が動けば影も動く
水面を打叩いて飛び立てば
波紋は拡がつていき
白鷺が新しい地平に立つてもなほ
余韻がひたひたと岸に寄せてゐる
白鷺
わが孤影
◇沖の船
炎天下
水平線上を
白い客船が行く
あまりにもはるかにして
距離の進捗は
はかばかしくない
一分後も
同じところにゐる
二分後も
ほぼ同位置だ
それならばと
五分へだてて視線を
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