約束/海月
 
鮮やかな色に道路は染まり
君の淡い朱色の髪と似ていた

家と家の間を抜ける様に光は僕らを照らす
眩しくて瞳を背けた
その間に君は僕の視界から消えた

小さな悪戯が僕を困らす
だけど、
その悪戯が少し嬉しくて
笑えた。

その後に君が僕の耳元で囁いた
愛の言葉に僕は深く考えずに
その場だけの返事をした

近くなればなるほどに
互いの心を垣間見てしまう
無防備な君の中に滑り込める

当たり前を知るには遠くになること
そう言って、別れ言葉を君は呟いた

道路が灰色に染まる様に
君の髪が黒に染まる様に
夕焼けが闇に染まる様に

事の成り行きは決まっている

小さな君の手が触れた時に感じた
僕にない独特の感性

そのやわらかさ
そのあたたかさ
そのたいせつさ

忘れてたいと想うほどに
僕の記憶(心)の中で残り(生きて)
僕が静かに叶う事ない日を待ち続けている

約束は静かに落ち葉の下で寒い冬を過そうとしている

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