紅/
暗闇れもん
紅を差そう
朱色の布をまとわせただけの軽い体を起こして
襖の向こうでは三味線と声
硬い布団と一緒に沈んでいく長い黒髪
艶やかな声
媚びる声
細く白い足の影が
いくつもこの小部屋の前を通る
さらさらと衣擦れの音が繰り返し
紅を差そう
振り向く者などいないこの小部屋で
自分だけのために
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