会えない女/ネコ助
 
起きもせず、眠りもせず
顔の前の空気を、音もたてず吸っている。

この悲しい痛みは消えはしない。
ふとした吐息の谷間に流れ込む
夜の冷気は白きくもりを描いて消えて行く。

月のテラスに
癒せぬ痛みを冷やし、
ただ虚無の時を過ごしている。
星が一つ流れた。
[次のページ]
戻る   Point(2)