聞きたい声を 花束のさやぎに求め 逢いたい影を 揺れる水面にさがしても 白磁の花瓶は 花を傾けながら落ちていく 闇の波紋が広がって あの輝きに罅(ひび)が 夢の夕餉 失われたソファー 月下の徒歩 星への願い もう僕たちは 駄目なんじゃないだろうか 駄目なんじゃないだろうか 逢わないことだけが 遠く偲ぶことだけが 救いなのかも 夜は哀しみの中でさえ 戯れに揺らぎながら 静かに落ちてゆく