君が好きだったコスモス/こめ
 
廃校舎に月がさしのべる

光の中野エントランスの階段を

少しずつ確かめるように登っていく

昔のクラスの自分席に座って

月明かりに照らされて

まぶしいので目を細める

僕がみたいのは君の笑顔だけなのに

その笑顔はもう消えて

空に幻想として浮かんでるだけ

ずっとそばにいたい僕

いつも手の中にあった少し小さい君の手は

もう冷たく凍りよりも冷え切ったいた

いつも部屋の一人で居た

部屋に飾ってあった君の好きなコスモスは

下を向いて悲しそうにしおれていた

このままずっと一緒にだと思ったのに

[次のページ]
戻る   Point(13)