時の経過/田島オスカー
夕方です
一段と窓ガラスの汚れが目立つという
そんな悲しい時間です
あたしにはもう何もないの、と言った時
あなたは
ふっと顔を伏せて泣いてしまいました
いったいどちらが悪かったのだろう
夜です
寒くなったから
星がとても綺麗に見えるという
そんな悲しい時間です
もう全部忘れたいの、と言った時
あなたは
あたしの手をとって口を付けました
いったいどちらが悲しかったのだろう
朝です
いつまでたっても朝もやが
あたしを責めたててしまうという
そんな悲しい時間です
あなたに何がわかるというの、と言った時
あなたは
あの腕時計を置いて部屋を出てしまいました
いったいどちらが決めたのだろう
すべて一からやりなおせるなら
あなたに出会う前まで巻き戻して
そしてもう一度出会いなおす
そうすればきっと
悲しい時間ももうなくなって
朝日の美しさに涙できるあたしがいてくれるはずなんです
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