無関心への審判/ネコ助
 
    
およそこの世に安定のときはなく、         
平和のときは戦いにおびえ、            
戦いのときはひたすら小声で、           
平和を唱えてきた。

そして今、平和となれば、
人々は地虫のように、
小さな穴蔵の気候で繕い太った。

平和を支えるあつれきの音は、
慌ただしい騒音に沈み
もはや、青い星の嘆きを聴く
耳を無くしてしまった。

人々は世の中の流れに
立ちはだかる足を無くし、
水に没した口からは
神に届かぬ祈りの泡が
諸行無常の音を立てて消えて行く。

自分のことで精いっぱいという人間たちを、
行動を起こさぬ人間たちを、
楽園を創ろうとしない人間たちを、
金と色と権力ばかりを求める人間たちを、
最後の審判のリストは
フルネームで書き連ねている。

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