夕景/月夜野
 
   
       なぜだか自分は
       昼と夜のあいだの薄暗がりにいて
       テレビから流れる声を
       聞くともなく聞いている
 

       闇が部屋まで迫ってくると
       追い立てられるように
       まだ明るさの残る通りへ出て
       自転車が走り去るのを遠目に見る
 

       こうしているあいだにも
       わたしの時間は流れ去り
       悲哀も愛も災いもない一日が
       白紙の日記に追加される


       せめて寄る辺ない今日の最後に
       夕陽の色で瞳を染めて
       どこかにいるもう一人のだれかを
       夢のなかで抱いてあげよう



 
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