こわれかけのモニュメントの像/こめ
機能が完全に停止した僕の体はすでに
冷たい鉄クズでしかなかった
暖かい物を抱え込んでも変化など
当然のようになかった
毎日流した涙の数は
数えきれないほど積み重なっている
早くもすすむ歯車のギリギリという機械音は
聞こえなくなっていた
心臓代わりのエンジンはもう僕に冷たくほほえみかけるだけ
何を誇りに思う
翼を広げ結局はとびずにジャンプするだけ
せき止められた世界の破片
壊れたモニュメントの像は酸性雨のせいか
鉄の涙を流して時を見下ろす
ドラム缶からもれた君の感情をすくい上げる
自分の無力さをしったあの日の夜の月は
月食だったっけかな
歪んだ心の塊を丁寧にいろどる
光らない僕はやっと掴んだ君の手を
はなさまいと必死で握っていた
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