河/海月
 
人生とは大きな河(うみ) 
若い時は船を造る事が出来たが 
歳を重ねるとその技量だけが残る 
彼の体力は静かに老化した 
彼の肉体は思いの他にガタが来て 
少しの力で骨は折れてしまう 
その為に今は口先だけが動く 
もう、船を造る事は出来ない 
それはあまりにも残酷だった 
「詩人から詩を奪ったら何が残るだろう 
 この場合は詩ではなく言葉の方が良い」 
彼にとっての生きる源は絶たれた 
その持て余す技量を次の世代に繋ぐ 
彼にはそれしか出来ない 
だが、現実はそんなに甘くない 
次の世代を担う人がいない 
今は機械鳥の方が魅力的と 
若人達
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