詩人・一期一会 〜其の一・落合朱美詩集「思推」を読んで(上)〜/服部 剛
 
け遠くの街まで 
  風に乗ってお行きなさいと
  空へ翔ばす 
  儀式 


 確かに詩作という行為は「 送る宛てのない歌 」であり、自らの
答を探そうとしている個人の内面を表すものである。だが、詩人で
ある彼女が幼年期の願いの象徴である紙飛行機を一篇の詩の中でそ
の手から放つ時、哀しみを乗せて風に乗るうすずみ色の飛行機が、
開いた詩集の中からゆっくり飛んで来るのを、読者は見るだろう。



 * 落合朱美詩集「思推」(詩遊会出版部)を参考に書きました。  





戻る   Point(11)