ガラスの水晶 /服部 剛
もし
きみ が ぼく を
ガラスの水晶のように
見てるなら
少しでも指にふれたら
汚れてしまいそうな
壊れてしまいそうな
世にもきれいなものとして
見てるなら
それは幻
向きあった
まあるい心の鏡に
互いの瞳が映る
きみ と ぼく との間に流れる
誰も知らない涙の川
( 人はみな、どこかにたようなもの
誰もが一度は投げこまれる泥沼から
風の手のひらにすくわれて
こびりついた汚れを拭(ぬぐ)われるだろう
きみ や ぼく の まあるい心
どこか遠いところからの光を映す
ガラスの水晶
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