日々の谷間で/服部 剛
「 あぁ あぁ あぁ あぁ
嗚呼 嗚呼 嗚呼 嗚呼 ・・・ 」
休日の公園
木々の上から
烏等(からすら)ののどかな調べに
地上の鳩等も舞い踊る
噴水のほとり
餌蒔きおじさんは少年に
「ホラ、君も蒔いてごらん」
さしだしひらいた小さい手に
パン屑をわたすおじさんは背を丸め
「人」というくずれた文字になった二人の姿を
木陰のベンチで写生する麦藁帽子の婦人
密(ひそ)かな背中の向こうに
寄せては返す 鳩の波
首を振る無表情な瞳を追う子供等の上から
「 ばっかもん! ばっかもん!」
見上げれば ヒマラヤ杉の枝にのる
太った烏が
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