ミルククラウン/三条麗菜
 
一人でいる寒い夜は
温かいミルクを飲みます

スプーンで雫を落とすと
ミルククラウンができるのですが
それがあまりに一瞬のことなので
私には何も見えません

あなたがそこに
いれくれたらね

あなたがもしもそこにいて
スプーンから一滴の
ミルクの雫を落としたなら
私は絶対に見逃さないのに
あなたのどんな小さなことも
みんな覚えていたいのだから
私はきっとミルククラウンを
はっきり見ることができるでしょう
あなたの作る王冠はきっと
金銀が散りばめられていて
無数の宝石がキラキラと
輝いていることでしょう

……なんてそれは
あまりにきれいすぎる話だな
私は一人で苦笑い

一人でいる寒い夜は
温かいミルクを飲みます

そして涙の雫でできた
小さなミルククラウンを
飾ります

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