忘葬/しでん
ぼくは恐れている
いつか、君を忘れてしまうのじゃないかって
そろそろぞろぞろと皆動き出して
黒い夜を越えてみれば
何もかも終わったみたいに笑ってた
もうぼくと、君の家族以外は
涙ひとつ流してはいなくて
君は見えないところで燃えていた
知らないあいだに燃えていた
明日になれば
輪郭も、鼻の形も、えりあしも、
髪型も、口の動きも、何もかも、
忘れていってしまうのかな
へたくそなぼくの絵で
きみの顔を描いておけば、大丈夫だろうか
「辛い思い出など、忘れたほうが良い」なんて言われて
母親が勝手に物置に仕舞ったり、しないだろうか
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