ピラニア/「Y」
か映らなかった。
しばらくしてから僕はようやく我に返り、
〈ピラニアを水槽に戻してやらなければいけない〉
と思った。僕は床にしゃがみこみ、嫌悪に耐えながら、ピラニアを両手で抱えた。冷たくぬるぬるとした感触と共に、ずっしりとした重みが、掌を通して僕の腕に伝わってきた。僕が抱え込んだあともピラニアは跳ね続けていたので、かなり強い力でその胴体を押さえつけなければならなかった。僕がピラニアを持ち上げようとしたそのとき、ピラニアは、ひときわ強い力でその身を躍らせた。鰓を押さえつけていた右手の人差し指が、ピラニアの頭部へと滑った。そして次の瞬間には、僕の指先から、血が滴り落ちていた。
なぜか痛み
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