ピラニア/「Y」
様子を見るために自室へと向かった。その頃は家に帰るとすぐに、自室にピラニアの様子を見に行くのが習慣になっていた。僕の部屋は六畳の洋間だ。水槽は勉強机の隣に、窓に面して置かれていた。水槽は2つで、ピラニアのいる水槽の左隣には、餌となる金魚やメダカの入れられた小型の水槽が置かれていた。それらは部屋の出入り口のほぼ真正面の壁際に位置していたので、僕は自室のドアを開けるのと同時にピラニアの様子を確認することができた。
僕は部屋の電灯を点け、水槽の中のピラニアを注視した。ピラニアの様子は普段と変わらなかった。それは息を潜めるように一箇所でじっとしていた。僕は部屋の入り口に佇んだまま、しばらくの水槽の中を
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