海の見える駅 〜江ノ電・鎌倉高校前〜/服部 剛
 
弦を震わせ 
音を奏でる時を夢に見るヴァイオリン 

若い夫婦の間には 
ちょこんと座る男の子 
口よりも大きいサンドイッチをくわえてる 


踏み切りの音が鳴る 

「鎌倉行」の江ノ電が 
ゆっくりホームに入って来る 


車内のドアに凭(もた)れ 
走り始めた車窓の外 

きらきら光る海を背に 
波の上を跳(は)ねる
サーファーの黒い影 







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