夕暮れの城/折釘
 
夕暮れの城

ひかりは厚さを失いはじめひとりまたひとり
公園の砂場から友達がいなくなってゆく
やわらかな指の持ち主を伸びきった影が薙ぐ
夕暮れの城を築く今日の砂が水を失い
ひと葉の小枝を支える力もきえてゆく

街には灯がともり
柔らかな階を空は塞ぎ
冷たい目蓋の下で砂は震えていた
目を凝らさなければ見つからない
微かなかすかなふるえ

幼児はその城にすむ王
崩れかかった外壁を施工し
蛇口からの水路を通して壕を張り
小石の大砲とビー玉兵士の環の中で
誰も聞かない笑い声をたてる
吹きはじめた風の歓声が足跡を集める
遊びの主がいなくなった
タイヤ山には王妃の陽炎
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