こぬか雨/ネコ助
いつしかうとうとと、
意識は明滅するその時に、耳はそれを感じ取った。
水を切るタイヤの音に、
『ああ、降り出したのね』とつぶやく声。
窓を開けると、霧のような雨が舞い込む。
街頭に照らされたそれは、
白い手の形をして入り込む。
それを黙って見つめる四つの瞳。
白く静かな雨のせいで、
やさしく単調な音のせいで、
帰り支度の言葉を無くした。
その目に光るは、涙か雨の滴か。
このまま濡れていたいと訴えている。
唇ですくって、それを聞き流す。
あきらめの時間はすでに訪れている。
せめて止むまでと訴えている。
唇をあててそれを塞ぎ込む。
揺れるカーテン、
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