風/海月
 
僕は何時間この場所に居るのだろう?
雲の流れや車の流れを風として肌で感じる
少しだけ肌寒い風は心地良く
嫌なことを忘れさせてくれる
公園のベンチで時間が過ぎるのを待つ人

形あるから何時かは壊れてしまう
壊れる事で僕らは大切さを知り傷つく
当たり前のことが出来る喜びを感じぬままに生きている

砂で造った大きな城も少しだけ大きな波が来て飲み込まれてしまう
後に残るのは平らに広がる貝殻や砂
僕らは宇宙に落とされた一滴の星

スプーン一杯の涙を
スプーン一杯の血を
僕に飲ませてくれたのは君でした

壊れても造る
だけど、壊れるからまた傷つく
傍にいたいと願う程に壊れてしまう儚さに目もくれず
愚かな愛に溺れてしまう

錯覚と交差を繰り替えし
真実と虚構の狭間を行き来して
僕らは明日を迎える

風はいつしか冬の匂いがした





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