薬理記録 10/19・20/六崎杏介
記録 ビジョンと思考、閉鎖
十月十九日
PM07:00
午後七時、大量の薬を持って途方に暮れる。烏丸丸太町、を覆う倦怠。
PM07:30
携帯が止まっている事に気が付く。それだけで山奥は閉鎖された空間になる。
バスはどんどん孤独に切り込んでゆく。窓に映る他人らしい他人。
全ての妊婦を刺殺する、そういう悪意は誰の物だったか。私は案山子、裸足のルビー。
一歩づつ、光が収束へと足を進める。堆積した音を微かに舞い上げながら。
此処には赤い約束しか無い。
青々と繁ったフェンスが、街灯の下でほどけてゆく。蔦屋敷は過去を取り損ない、命は灯らない。
銀鱗の月が、送
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