無題/海月
 
名前もない詩(うた)を書いています 
それは誰かに向けたものではない 
だから、何の為に書いているかも分からない 
それは花と同(おんな)じかな? 
何の為に咲くかなんて分からないと笑った 
君はそっと囁くように答えた 
「生きる為」 
緩やかな放物線を描く様に 
僕らの影は伸びている 
何も起こらない嬉しさ 
何かが起こる不安 
「怖い」と怯える二つの鼓動 
手を繋げば理由はないけど和らぐ 
1+1=2 
とは必ずしもならない 
1+1=0 
となる時も在る 
僕が幼い時に摘み取った 
名前のない花の種 
植える訳でもない 
目的もなく 
僕は壊した 
突然の君の死を受け止められる事も出来ず 
僕は冷たい手を温めようと力強く握り締めた 
その度に「痛い」と声がしない事に僕は痛みを覚えた 
その痛みを忘れようと僕は詩(うた)を書いています 
僕は「無題の詩(うた)」を書いています
 
 
 
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