森の中で/ネコ助
ほら
ここはいつか来たあの森の入り口。
遠い昔になった思い出だけど、
確かに君と歩いた道だ。
何か良いことがありそうな、そんな風が背中を押し
少し怖いような、甘い花の匂いが僕らを包んでいた。
そして、若さに任せて、怪しい冒険を求めるように入って行った。
だんだんと行く先は暗く細り、
深い木々に覆われた小道を
君は手を引かれるように歩いていた。
『帰れなくなる』と、心配する君を、
『もう二度と戻る道じゃないから、心配は無い』と、
僕の視線を見るように言って、手を引いた。
それからまた、ずんずん歩いて、
明るいところではお喋りして、
暗いところでは歌を歌っ
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