夜、明けない森で/夕凪ここあ
 
そして
冬将軍がやがて
この森にも流星を連れてきます
今夜は月のない晩なのでとても綺麗に見えるでしょう
私が待ち遠しいのは流星、
じゃなく、やさしさ
愛しい人の名前を呟けば
白い息とともに深い夜に溶けてしまいます
最初から何もなかったかのように
やせ細った木々の間から
木漏れ日が射すのは遠い夜明け
東の森は
すでに眠ってしまったので
私はそれより遠くに行かなければなりません
静寂が体温を連れ去るので
愛しい人の名前を唄います
掠れた声が虚しく夜に飲まれても、
この森を抜ければ
拓けた丘で今夜
流星群が見られます
私の空に夜明けがなくても
どうか、あなた
明日の朝に夢か何かと勘違いしないで、いて
それは紛れもない
私が見た流星の雨



だれかのなみだ、みたいね。

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