保護色の蛙/あおば
緑色した大地の果てに住む
保護色の蛙たちが
人でなしにつかまって
赤い入れ墨で
標識番号を付けられて
無線チップを埋め込まれ
開け放たれた大地に
放射冷却の暮色を迎え
子煩悩の大人達は
痛む脚を抱えて
四輪駆動車の来るのを待つ
富士山の五合目までは
クルマでも行けますからと
騙された蛙たちは
まっ赤な入れ墨をされて
電波の届かないところに
逃げようとして捕まって
生体実験用にされた
保護色のママでいれば
捕まらなかったのにと
赤いチップのお兄さんは
考えている
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