少年と老婆/服部 剛
体のまあるい婆ちゃんが
ぜいぜいと団地の階段を上っていた
通りがかりの少年は
後ろから両手で腰を抱えて
ゆっくりとした歩調と合わせ押し上げた
( 振り返ると
( 団地の外の眼下には
( 夕暮れに染まる小学校の校庭
( 子供達はぴーちくぱーちく
( ひっきりなしに
( 走ってた
ぜいぜいと
自分の部屋の玄関に辿り着いた
まあるい婆ちゃん
ドアを開けて入るやいなや
「ちょっと待ってて」
と姿を消して
健気(けなげ)に立っている少年に
ヤクルト一本持って来た
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