もらいもの /服部 剛
 
親父・母ちゃん婆ちゃんは 
姉・婿・孫娘のいる富山に行き 
一週間は帰らないので
家はがらんと広くなった 

仕事を終えた帰り道 
夜空を見上げ 
雲から顔を出す十五夜お月さんと話し 
誰もいない家へと続く夜道を歩く 

遠くで闇に光るコンビにに寄り 
パンとバナナと牛乳を買う 

家に帰り 
いつも一日の終わりに話しかける
花瓶の花に水をやる 

湯舟に温かい湯を入れる 

持ち帰った作業着を洗濯機に放り込み 
スイッチを押す 

湯舟に浸(つ)かっていると 
今迄気づかなかった 
このがらんとした家に住んでいる不思議が 
心に湧いて来て 
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