空へ空へ。/渕崎。
へとあがれれば眩しいほどの蒼色が見えるのだろうかと僕は思った。
彼女も続いてフェンスの向こう側にやってきて、やはり僕の手をとって笑ったいた。悪戯をする子供みたいに。
――じゃぁ、行きますか。
――帰らぬ旅路に?
――そう。じゃぁ、いっせーのーでっ!
――んっ!
とん、と屋上の床を蹴って僕と彼女は宙に舞った。一瞬だけ、鳥になって。
そこで僕らの物語はお終い。
全部くだらない一人の少年の人生の一部分の話だ。実に下らなく平凡で最後だけ少し冒険してみた少年の。
愚かしい少年だった、死にぞこないの僕の話だ。
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