弔い/海月
今日、貴方はこの世界を旅立ちました
それでもこの世界は何も変わらない
万人はこの答えに直面して受け入れてきた
若くして病で旅立つ人もいれば自ら望んで旅立つ人もいる
数十年前に一人になった
おばあちゃん
数十年前にばあちゃんを置いていった
おじいちゃん
何処に行ったか分からない
お父さん
小学校にあがって直ぐに旅立った
お母さん
お母さんが旅立った日
僕は泣けずに空を見て
雲の流れを静かに見送った
それからはおばあちゃんを大切にして生きてきた
死ぬ事を初めて考えたのは歴史の授業で戦争を学んだ時
二度とは戻らぬ生命の形
否応なしに涙が溢れてきた
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