「悪い夢」 /服部 剛
ルビ轢=ひ}いて青ざめていた
道の背後でアスファルトにぺちゃんこになった
被害者の開いた口は呪詛を唄い続けるので
恐くなって夢中でアクセル踏み込み逃げてきた
*
目が覚めて
窓から朝の光は射して
小鳥は囀(さえず)っていた
高鳴る胸に手をあてて
布団から身を起こす
( 夢でよかった・・・
階下から
母ちゃんの声が聞こえる朝6時半
「 起きなさ〜い、仕事遅れますよ〜 」
今日も
ふつうに朝食を食べ
ふつうに出勤し
気の合う誰かとふつうに遊ぶ
あぁ、平凡って、すばらしい。
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