刻めない時計/海月
君の頬を伝う
一滴の感情
床にぽつり、ぽつり
時を刻む時計の針よりも遅く
言葉のナイフで君を傷つけた
僕をその事を知ったのは次の日の朝になってから
隣で寝ている筈の君の姿がない
テーブルの上には冷めたスープと黒パン
置き手紙がヒラリと宙を舞う
さようなら
探さないで下さい
僕の頬を伝う
一途な想い
温もりを失うベット
秒針は確実に未来を告げる
言葉のナイフで自分を切りつける
心の痛みが僕を締め付けた
君の痛みに近づけたのだろうか?
こんな時にこんなことを考えている
真っ先に君の元に走れたら
それを愛と呼べるはず
月日は流れ季節は何度も色を変えて
僕は年老いて遠い昔を思い返す日々
テーブルの上では何もないスープの容器とカビて萎んだ黒パン
色褪せた紙切れ
全てがあの日のまま
カレンダーもあの日の日付
何もかもあの日のまま
僕の心は刻めない時計
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