秋明菊/服部 剛
 
竹筒の側面の穴に生けた
秋明菊(しゅうめいぎく)の白い花々 
境内に奏でられる雨唄(あまうた)に耳をすまし 
そっと頭(こうべ)を垂れている 

些細(ささい)なことで 
すぐに頭を上げてしまう 
日頃の私 

稲穂の姿にも似た
秋明菊の黙礼は 
世の重力に俯(うつむ)きながら 
地に映る花影を 
風に揺らす 

開ききらない 
控え目な白い花弁(はなびら)に包まれた  
小さい太陽




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