橋/松本 涼
 
橋は斜めに延びている
狭い歩道には影も落ちない
月も雲もいない


何人かの顔がよぎる
数秒の会話が流れる
いくつかの名前が着いて来る

どれもが此処にはいない


昨日に在る欠片と
明日に在る気配が
固く手を結ぶ時間

橋はどこまでも伸びている
感じようと感じまいと
此処に在る透明なカタチ



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