トマトジュース飲んで死のう/しゃしゃり
 
女にふられたので、
今度のこんどこそ、
この女でなければならない女にふられたので、
トマトジュースを飲んで、死のうと思った。
なんでトマトジュースかといえば、
野菜が足りないと思ったからだ。
完熟トマト十四個分のリコピンだ。
なんだか、
これでもう十分なような気もするじゃないか。
リコピンがどれだけ人生に重要かは知らないが。
友よ。
べつに友じゃないか。
でも友よ。
他にも女はたくさんいるよ、なんて、
なんの慰めにもならないよ。
他に、どんなにいい女が百万人いようとも、
あの女はあの女ひとりだけなのだから。
死んだら灰にして、
海にまいてほしいといったあのこ。
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