人暮れ/
眠離
指の付け根から爪を目指して
ゆっくり油が滑っていく
電話が切られたとき見た
甘い色の陽は目蓋に飛び
温度が変わったことに気が付いて
自然とほどけたのは 唇の隙間
小さな振動が カーテンを揺らしたから
何も言わない受話器を握った
満ちてきた
そうして1時間後
頬と額を拭った両手の爪は 長すぎて
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