生成する葡萄状の意味?中原紀生「葡萄状連詩」を読む/ななひと
 
中原紀生氏の「葡萄状連詩」は、まさしく葡萄のように豊穣な意味を創出する。私たちはこの詩を前に、概念と意味のなりたちについて、歩みをじっくりと遅めざるをえない。「葡萄」という言葉一つとっても、これは多重な意味関連の中で/を生成しつつ、存在している。それは「葡萄」のように、この詩の各連が緩やかにつなぎ止められていることも意味しようし、「葡萄」という生物―生成する言葉、としての詩であり、また「葡萄」の「果実」は、始まりであり同時に終わりであるという命題を指さす。
だから、私たちはこの詩を何度も読み返す必要がある。順番に、あるいは断片的に、ときには後ろから逆向きに。この詩が指し示している意味と時間を十全
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