絵の中の部屋 〜姿なき人〜/
服部 剛
壁に掛(か)けられた
一枚の絵の中の蒼い部屋で
涙を流すひとりの女
窓からそそがれる
黄昏の陽射しにうつむいて
耳を澄ましている
姿の無い誰かが
そっと語りかける
沈黙の声
( あなたの明日に、橋を架けよう・・・
絵の中には描かれない
姿の無い人
頬に涙が伝う女の傍らに現れる
朧(おぼろ)に光る 人の形
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