窓辺のランプシェイド/藤原有絵
 
君は君にしかわからない
悲しみの空気を読み込んで
そっと手のひらで文字にして逃がす

窓辺にもたれて
涙もこぼさず


僕はこの世界を
少しだけ繋いでいたくて
小さな音で音楽をかけて
膝に頬をつけて白くなる

雲みたいに
浮かべなくても



雪の街が細工された
ランプシェイドを買ったんだ

温かい街を
君が見下ろせますように



力なく
優しくなく

痛い痛い痛い


そればかりでないと
どんなに笑っていても

それらは鋭く
心破れる夜があるよね



上手くいかない事
霧のかかった日々が続いても

窓辺にはランプシェイド

悲しみは
仄かな灯りに照らされて

羽のように
逃げていく


君の手のひらから


広い世界へ解けて消える



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