幸せレストラン/山崎 風雅
 
 ささやかな快楽と引き換えに
 悪魔に魂を売った男がいた
 垣間見せる仕草には
 気付く人には気付く冷たいベクトル
 遠くで
 どこか遠くで暮してみたい
 街では全ての人が看守のように裁き
 弱音を吐く路地はアスファルトになり
 涙が吸い込まれる余地もない
 ひたすら精神を病み
 紫色の街路樹のある道には
 誰かが忘れていったドラマが再生する
 時は無情に目の前を通り過ぎ
 背中にはたくさんのレッテルが貼りつけられてる
 どこでもドアがあっても
 悩みはなくならないだろう
 タケコプターがあっても
 事故はなくならないだろう
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