街/
松本 涼
もうゆっくり眠りなさいと言う
街は密やかに優しい
まだ眠れないと私は言う
夜は美しく時間を鳴らす
開き切った魂の赤い色は
誰の為にでもなく其処に在る
濡れる者渇く者が
同じ予感に満ちている
今というのは暖かいものだ
薄くならずに居たい
濃くならずに居たい
狭く広がらずに居たい
私は私で在らずに
魂の空間として此処に
浮かび上がるのなら
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