fractal/あやさめ
 
進んでいく詩だ。
   ところが、その中で語り手自身はある存在を気にしていることがわかる。
   語り手と一緒に動いている「もの」がもう1つある。それは雲であったり、そして…」
  「黒い、オーヴァコートを着た人。」
  「そう、そしてその存在について天沢退二郎は『これは作者のドッペルゲンガーである』という見方をしている。
   つまり、作者の一人称の視点に現れるはずのない、作者そのものの姿だ。
   ここに、一人称によるスケッチであるはずの作品にメタ的構造が出現していることがわかるだろう。
   作品の中で語っているのはまぎれもない作者だ。ところが、それ自身が作者によって「書かれて
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